仮面 ライダー ドライブ 早瀬。 仮面ライダードライブ ロケ地ガイド

#4 なにが元刑事のエンジンをかけたのか

仮面 ライダー ドライブ 早瀬

早瀬明はテレビをつけた瞬間、頭が真っ白になるのを感じた。 その文字を読むよりも速く、頭が理解してしまったのだ。 改めて、何かの間違いではないかと、表示されたテロップを読む。 現実を突きつけるかのように、アナウンサーが淡々とそれを読み上げる。 声にもならなかった。 慌てて携帯電話を取り出し、彼の名前を表示する。 だが、発信する気にはなれなかった。 もし、出てくれなかったら。 あるいは、違う人物が出たら。 彼の身近な人物から真実を告げられたら、きっと耐えられない。 ふと、思う。 アイツもあの日、こんな気持ちだったのだろうか。 血にまみれた俺の姿を見て、こんな風に絶望したのだろうか。 はは、と零れたのは、自嘲の笑みだ。 「アイツに、謝らなきゃな…」 もっと、早く気付くべきだった。 相棒を失うことの意味。 アイツはよく自分を車に例えていたが、エンジンが止まった状態、というのは今の自分でもよく分かる。 心に灯っていた火が失われ、冷たくなっていく。 こんな状態で動きだせる訳がない。 励ましのつもりであったが、動けるお前が代わりに市民を守れ、などと俺はずいぶんと酷なことを言っていたんだな。 ニュースを見るたびに、あれは誤報でした、と流れないものか期待した。 機械生命体を欺くための作戦でした、と誰かが言い出してくれないかと。 泊進ノ介、仮面ライダードライブは今も市民のために戦っていますと。 だが、時が流れるにつれ、早瀬の中でも諦めが付きかけていた。 携帯電話に表示したのは、特状課の連絡先。 俺だって…。 覚悟を決めて、発信ボタンを押そうとしたその時だった。 見慣れた長身の男が片手を上げて近づいてくる。 「よっ、早瀬」 あまりにも何事もなかったかのように声を掛けてくる元相棒に、目を丸くしたまま、言葉も出ない。 力が抜けた手から、携帯電話が落ちた。 「おいおい、大丈夫か?」 元相棒、泊進ノ介が早瀬の前で屈み、それを拾って渡す。 画面に表示された特状課の文字を見て、発信する前で良かったと笑った。 それが進ノ介の携帯番号ではなく、特状課であった、ということから要件は察していたのだろう。 「二階級特進なし、だから安心しろよ」 携帯電話を受け取り、そのまま進ノ介の手を掴む。 「良かった。 本当に…!」 あれだけ誤報であって欲しいと願っていたのに、いざそれを目の当たりにし、真実として認めていた自分に気が付く。 「俺、お前に謝らなきゃいけないって…。 お前が死んだって聞いて、初めて気が付いた。 秘密だった自身の正体を明かしたあの時の言葉が蘇る。 自分の目の前で倒れられて、まともに動くこともできなくて。 進ノ介が倒れた現場にいなかった自分には想像することしかできない。 もう、いいんだよ、と進ノ介はその肩を叩いた。 「てか、怪我したお前が一番辛かったに決まってるだろ。 俺は、自業自得…ってこれはもういいんだったっけ…」 早瀬の顔が歪んだことに気が付き、進ノ介は言葉を止める。 グローバルフリーズの日、早瀬の怪我の切っ掛け。 早瀬は、あれは様々な要因が重なった事故であり進ノ介のせいではないと、頑として譲らなかった。 「とにかく、心配かけてごめん」 肩を落とし、しょぼくれる元相棒を見るとこれ以上謝罪の言葉を重ねるのも申し訳なくなる。 「ま、これで俺達お相子だな」 は?と進ノ介が首を傾げる。 「相棒に心配かけさせられた者同士、ってことだよ。 今回は無事で良かったけど、あんまり無茶すんなよ。 …って言っても、聞くようなお前じゃないか」 早瀬は気を取り直して、いつもの調子で口を開いた。 いや、いつも以上に声のトーンが高いのは明るく振る舞っているだけだ、ということは進ノ介でも分かる。 死んだと思っていた相手が平気な顔をして現れたのだから、平常心を保っていられるはずもない。 「お前はやっぱすごいよ、泊。 俺も、いつまでも立ち止まってられないな」 早瀬だって、どんどん良くなってるじゃないか、と進ノ介は笑った。 ギアの入るのが遅い進ノ介から見れば、早瀬が立ち止まっていた時期などほとんどないのだ。 それでも、早瀬はそうは感じていないのだろう。 何かを決心した、強い輝きが瞳の奥に込められていた。 進ノ介と別れた後、早瀬は改めて特状課に連絡を入れる。 彼が何を考えていたのか、進ノ介が知るのは、しばらく経った後のことだった。

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#4 なにが元刑事のエンジンをかけたのか

仮面 ライダー ドライブ 早瀬

早瀬明はテレビをつけた瞬間、頭が真っ白になるのを感じた。 その文字を読むよりも速く、頭が理解してしまったのだ。 改めて、何かの間違いではないかと、表示されたテロップを読む。 現実を突きつけるかのように、アナウンサーが淡々とそれを読み上げる。 声にもならなかった。 慌てて携帯電話を取り出し、彼の名前を表示する。 だが、発信する気にはなれなかった。 もし、出てくれなかったら。 あるいは、違う人物が出たら。 彼の身近な人物から真実を告げられたら、きっと耐えられない。 ふと、思う。 アイツもあの日、こんな気持ちだったのだろうか。 血にまみれた俺の姿を見て、こんな風に絶望したのだろうか。 はは、と零れたのは、自嘲の笑みだ。 「アイツに、謝らなきゃな…」 もっと、早く気付くべきだった。 相棒を失うことの意味。 アイツはよく自分を車に例えていたが、エンジンが止まった状態、というのは今の自分でもよく分かる。 心に灯っていた火が失われ、冷たくなっていく。 こんな状態で動きだせる訳がない。 励ましのつもりであったが、動けるお前が代わりに市民を守れ、などと俺はずいぶんと酷なことを言っていたんだな。 ニュースを見るたびに、あれは誤報でした、と流れないものか期待した。 機械生命体を欺くための作戦でした、と誰かが言い出してくれないかと。 泊進ノ介、仮面ライダードライブは今も市民のために戦っていますと。 だが、時が流れるにつれ、早瀬の中でも諦めが付きかけていた。 携帯電話に表示したのは、特状課の連絡先。 俺だって…。 覚悟を決めて、発信ボタンを押そうとしたその時だった。 見慣れた長身の男が片手を上げて近づいてくる。 「よっ、早瀬」 あまりにも何事もなかったかのように声を掛けてくる元相棒に、目を丸くしたまま、言葉も出ない。 力が抜けた手から、携帯電話が落ちた。 「おいおい、大丈夫か?」 元相棒、泊進ノ介が早瀬の前で屈み、それを拾って渡す。 画面に表示された特状課の文字を見て、発信する前で良かったと笑った。 それが進ノ介の携帯番号ではなく、特状課であった、ということから要件は察していたのだろう。 「二階級特進なし、だから安心しろよ」 携帯電話を受け取り、そのまま進ノ介の手を掴む。 「良かった。 本当に…!」 あれだけ誤報であって欲しいと願っていたのに、いざそれを目の当たりにし、真実として認めていた自分に気が付く。 「俺、お前に謝らなきゃいけないって…。 お前が死んだって聞いて、初めて気が付いた。 秘密だった自身の正体を明かしたあの時の言葉が蘇る。 自分の目の前で倒れられて、まともに動くこともできなくて。 進ノ介が倒れた現場にいなかった自分には想像することしかできない。 もう、いいんだよ、と進ノ介はその肩を叩いた。 「てか、怪我したお前が一番辛かったに決まってるだろ。 俺は、自業自得…ってこれはもういいんだったっけ…」 早瀬の顔が歪んだことに気が付き、進ノ介は言葉を止める。 グローバルフリーズの日、早瀬の怪我の切っ掛け。 早瀬は、あれは様々な要因が重なった事故であり進ノ介のせいではないと、頑として譲らなかった。 「とにかく、心配かけてごめん」 肩を落とし、しょぼくれる元相棒を見るとこれ以上謝罪の言葉を重ねるのも申し訳なくなる。 「ま、これで俺達お相子だな」 は?と進ノ介が首を傾げる。 「相棒に心配かけさせられた者同士、ってことだよ。 今回は無事で良かったけど、あんまり無茶すんなよ。 …って言っても、聞くようなお前じゃないか」 早瀬は気を取り直して、いつもの調子で口を開いた。 いや、いつも以上に声のトーンが高いのは明るく振る舞っているだけだ、ということは進ノ介でも分かる。 死んだと思っていた相手が平気な顔をして現れたのだから、平常心を保っていられるはずもない。 「お前はやっぱすごいよ、泊。 俺も、いつまでも立ち止まってられないな」 早瀬だって、どんどん良くなってるじゃないか、と進ノ介は笑った。 ギアの入るのが遅い進ノ介から見れば、早瀬が立ち止まっていた時期などほとんどないのだ。 それでも、早瀬はそうは感じていないのだろう。 何かを決心した、強い輝きが瞳の奥に込められていた。 進ノ介と別れた後、早瀬は改めて特状課に連絡を入れる。 彼が何を考えていたのか、進ノ介が知るのは、しばらく経った後のことだった。

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【滝口幸広さん】早瀬……俺は悲しいよ【仮面ライダードライブ】

仮面 ライダー ドライブ 早瀬

「俺だって元警察官だ。 俺に悪いと思うなら、動けるお前が俺の分まで市民を守れ」 どうも、スリッパです。 先ほどtwitterはじめ、様々な情報媒体で、とある仮面ライダーの親友を演じてくださった役者さんのご逝去が伝えられました。 作中、レギュラーと呼べるほどの話数の出演はありませんでした。 しかし間違いなく重要なキャラクターであることに違いはありません。 第1話の時点で、主人公の最高のバディだったのに、とあるきっかけで警察官を辞めなければならなくなった。 主人公はそれを気に病んで踏み出せない時間が合ったり。 そんな彼を助けたいと思っていたり。 初代『仮面ライダー』の主人公=本郷猛の親友と同じ名前でもあって。 初代で私が一番好きなのも、その早瀬が登場する第3話。 高校生、大学生、社会人になった今でも、この話を観ると「これが正義の味方の辛さか……くそ」と涙がこみ上げてくるくらい。 それゆえの哀愁がある、とも。 たぶん仮面ライダーが「たとえどんな怪人が相手でも、人類の自由と平和を守るため悪と戦い続ける」と誓うことになった要因の一つでもあるのではないか、とも。 けれど、そんなことはなかった。 むしろ初代が「早瀬、どうしてだ!?」と哀しみの涙を流す物語だったカウンターとして。 この滝口さんが演じられた早瀬は「最後まで最高の親友を信じて、自分にできることを精一杯にやる男」として描かれたのかな、と。

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